「欧州の政治リスクの高まりが、日米欧の株式市場の上値圧迫要因」

6月18日のナスダック総合株価指数は7日続伸し、前日比5.21ポイント(0.03%)高の17862.23ポイントと最高値で取引を終えました。この日の話題は、エヌビディアの時価総額が3兆3000億ドルを上回り、マイクロソフトを抜いて世界一となったことでした。エヌビディアに関しては、ローゼンブラット証券が18日付けで目標株価を140ドルから200ドルに引き上げました。AI半導体の新製品群に加え、ソフトウエアも今後の成長を支えるとみているそうです。また、「ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズが、ETFの「テクノロジー・セレクト・セクターSPDRファンド(XLK)」のリバランスを近く実施し、これに伴いエヌビディア株に多額の資金が向かうとの見方が出ている」とも伝わっています。

 

なお、米国では、インフレ鎮静化期待が高まりつつあります。18日に発表された5月の米小売売上高は前月比0.1%増と市場予想の0.2%増を下回り、4月分も0.2%減に下方修正されました。5月の米CPI上昇率は、前月比で変わらず(市場予想は0.1%の上昇)、前年比3.3%上昇(3.4%の上昇)でした。5月の米PPIは、市場予想の前月比0.1%上昇に反して、同0.2%下落しました。下落幅は2023年10月以降で最大でした。エネルギーと食品を除くコアも前月比横ばいと、市場予想の0.3%上昇を下回りました。このように、個人消費が落ち込み、物価も市場予想から下振れしています。

 

さらに、ブルームバーグは「28日に発表される5月の米個人消費支出(PCE)価格指数は昨年11月以来、6カ月ぶりの小幅な伸びにとどまる見通しだ。今週発表された2つのインフレ指標がいずれも予想を下回ったことが背景にある。」と報じています。このため、FRBが景気減速への対応として、9月と12月に、0.25%の利下げを実施するとの見方が強まっています。この利下げ期待が、米国株式市場の下支え要因として機能する見通しです。当然これは、日本株への追い風です。

 

ところで、ブルームバーグが「17日に発表されたフランス国民議会(下院)選挙に関する最新世論調査によると、マリーヌ・ルペン氏率いる極右政党・国民連合(RN)は第1回投票で33%と、左派連合(28%)や与党「再生(RE)」(18%)を上回る票を獲得する見込みだ。」と報じています。「フランス発の欧州政治リスクの高まり」は、日本株への逆風です。このため、総選挙(1回目の投票が6月30日、決選投票が7月7日)の結果がある程度明確に見通せる、または、結果が判明するまでは、「欧州の政治リスク」が、日米欧の株式市場の上値圧迫要因として機能し続けることになると考えています。

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