フィジカルAI関連銘柄
「フィジカルAI」とは、生成AIや大規模モデルを物理的なロボットに結びつけ、現実世界で「理解・判断・行動」を自律的に行わせる技術概念のこと。解りやすく表現すると、ロボットやドローンなど身体を持ったデバイスで高精度で動作するAIのこと。ちなみに、電子部品や半導体などの日本企業が連携し、ヒト型ロボット(ヒューマノイド)の量産に乗り出す。早稲田大学や村田製作所が立ち上げたヒューマノイド開発の連携組織「京都ヒューマノイドアソシエーション(KyoHA)」にルネサス、住友重機械工業、住友電気工業、日本航空電子工業の4社が新たに参画。2026年3月までに試作品を作り、2027年中に実装や量産を目指す。2026年末に災害対応向けと研究向けの2種類を開発する。災害対応向けのヒューマノイドは身長250センチメートルほどを想定し、50キログラム以上の重量を持ち上げられるように設計する。研究開発向けは160~180センチメートルと人間に近い身長で俊敏性を高め、将来はロボット競技の祭典「ロボカップ」に提供する。共同開発の過程で生まれた特許は各社に帰属する仕組みで、ヒューマノイド向けに各社が開発した部品の供給先はKyoHAに限定しない。開発資金は各社で分担する見通しで、詳細は今後詰める。政府も本腰を入れだした。あらゆる状況に対応できる自律性を備えた汎用のヒト型AIロボットの試作機を2030年までに作る目標を掲げる。内閣府の「ムーンショット型研究開発制度」で開発を進め、政府が資金支援する。そこで、フィジカルAI関連の主要銘柄をピックアップします。
| コード | 銘柄名 | 材 料 |
| 6954 | ファナック | 世界最大級の産業用ロボットメーカー。NVIDIAとロボット分野で協業。競合(例: SoftBankのABB買収)に対抗する動き。この提携により、FANUCのロボットがNVIDIAのAI技術を統合し、音声コマンドによる動作制御や人間との安全な協働を実現する次世代ロボットを開発。 NVIDIAの「Isaac」プラットフォーム(ロボット向けAI・シミュレーション)とFANUCのロボットアーム技術を融合。 |
| 6506 | 安川電機 | 産業用ロボットのグローバルリーダーとして、AI統合やフィジカルAI(物理世界で動作するAI)の推進を戦略の柱に据えている。安川電機のロボット事業協業は、AIの進化を捉えた「i³-Mechatronics((アイキューブ メカトロニクス))」戦略の延長線上で、NVIDIA・富士通のようなテック大手やソフトバンクのような通信企業とのクロスオーバーが特徴。 |
| 6981 | 村田製作所 | KyoHA参画企業。電子部品のグローバルリーダー。ヒューマノイドの触覚・姿勢センサーや小型アクチュエータ(関節駆動部品)を担当し、高精度で低消費電力の部品を提供。ロボットの安定した動作と環境認識を支え、量産化に向けたコスト最適化にも貢献。 |
| 2980 | SREホールディングス | KyoHA参画企業。KyoHAの事務局を運営。参画企業の調整役として、供給チェーンの構築やプロジェクト管理を担う。ヒューマノイド産業を「自動車産業のような多層バリューチェーン」に発展させる戦略を立案し、全体のスケジュール管理(2026年春のベースモデル完成など)を推進。 |
| 6592 | マブチモーター | KyoHA参画企業。小型DCモーターの世界的メーカーとして、ヒューマノイドの関節部に必要な高トルク・低騒音モーターを開発・供給。「マシーナリー」領域の専門性を活かし、人手不足解消のためのロボット動作のスムーズさを支える。 |
| 7242 | カヤバ | KyoHA参画企業。油圧機器の専門家として、ヒューマノイドの脚部や腕部の衝撃吸収・安定制御を担当。建設・災害現場での耐久性を高める「パワー重視モデル」に不可欠な部品を提供し、歩行安定性を向上させる。 |
| 7240 | NOK | KyoHA参画企業。精密シール技術のトップ企業として、関節部の防水・耐摩耗シールを開発。ロボットの長寿命化と信頼性を確保し、屋外・湿潤環境(災害現場)での動作を可能にする。 |
| 6433 | ヒーハイスト | KyoHA参画企業。直動機器(リニアガイド)のメーカーとして、ヒューマノイドの関節・直線運動部品を設計・量産。産業ロボット経験を活かし、量産化の効率化を担い、低コストで高精度な部品供給を実現する。 |
| 6302 | 住友重機械工業 | KyoHA参画企業。サイクロ減速機の専門家として、ヒューマノイドの関節駆動部(高精度減速機構)を開発。「動かすを最適化する」ミッションのもと、災害対応型の強力な動作を支え、社会課題解決に貢献。 |
| 6723 | ルネサスエレクトロニクス | KyoHA参画企業。半導体大手として、モーター制御用マイコン、位置センサー、電源ICを供給。ロボットの脳(制御ユニット)を担い、早期開発のための「ウィニング・コンビネーション」ソリューションを提供。 |
| 6807 | 日本航空電子工業 | KyoHA参画企業。航空・自動車向けコネクタの技術を活かし、ヒューマノイドの内部配線・センサー接続を高信頼性で設計。振動・衝撃耐性のある部品を供給し、全体の電子システムの安定性を確保する。 |
| 7267 | 本田技研 | 世界的に有名なヒューマノイドロボット「ASIMO」(2000年発表)を開発したパイオニア企業。現在はASIMOの技術を基に、災害救助や医療支援向けの次世代人型ロボットを研究中。2025年現在、AI統合による自律歩行と物体操作の高度化を進め、国際ロボット展でデモを披露。KyoHAとは異なり、単独での大規模R&Dを推進し、将来的な商用化を目指す。 |
| 7203 | トヨタ自動車 | 遠隔操作型ヒューマノイド「T-HR3」(2017年発表)を中心に、建設現場や介護での活用を想定した開発を継続。2025年はAIアバター技術を強化し、人の動きをリアルタイムで再現するシステムをテスト中。KyoHAの産学連携型とは対照的に、トヨタ独自のモビリティ技術をロボットに応用。 |
| 9984 | ソフトバンクグループ | ソフトバンクグループ株式会社の100%子会社のソフトバンクロボティクスは「グループ直轄のロボット事業会社」。感情認識型ヒューマノイド「Pepper」(2014年発表)を商用化し、数万台を世界に展開。2025年は教育・接客向けにアップデートを加え、AI会話機能を強化。医療現場でのメンタルサポートロボットとしても試験導入されている。KyoHAのハードウェア重視に対し、ソフトバンクはサービスロボットとしての実用性を優先。 |
| 7012 | 川崎重工業 | 大型ヒューマノイド「Kaleido」(第8世代、2025年現在開発中)を推進。重工業の強みを活かし、工場や災害現場での重作業対応を焦点に、2024年のロボット展で耐荷重テストを公開。KyoHAの軽量モデル開発とは異なり、川崎は重機技術を基盤としたパワフルなアプローチを取る。 |
| 6501 | 日立製作所 | 車輪式ヒューマノイド「EMIEW」シリーズを開発し、2025年はセンサー統合による環境適応型ロボットを発表。オフィスや病院での案内・監視業務を想定。KyoHAの二足歩行中心に対し、日立は実用性を重視したハイブリッド型を展開。 |
| 3443 | 川田テクノロジーズ | カワダロボティクスは、川田テクノロジーズのグループ子会社。双腕型ヒューマノイド「NEXTAGE」を製造・販売。2025年は工場ラインでの協働作業を強化し、AIによる自動学習機能を追加。中小企業向けのカスタムモデルも提供。KyoHAの全体開発に対し、カワダは特定産業(製造業)向けのモジュール化を専門。 |
| 4425 | Kudan | 日本を拠点とするAI・ソフトウェア企業で、主に「人工知覚(Artificial Perception)」技術の開発に特化。特に、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping:同時位置推定・地図作成)技術で世界をリードしており、ロボットや自動運転などの分野で活用されている。KudanはNVIDIA Partner Network(NPN)のPreferredパートナーとして位置づけられ、2021年頃から本格的な協力が始まり、2025年現在も継続的に新統合を発表している。「Kudanの空間知覚ソフトウェアがNVIDIAのハードウェア・AIプラットフォームの『目と脳』を強化する」関係。 |
| 5817 | JMACS | 日本を拠点とする電線・ケーブルメーカー。JMACSとロボットの関係は、「動きを支える神経線*のようなもので、ケーブルが切れなければロボットは止まらない。JMACSのRXシリーズは、日本製ロボットの高信頼性を象徴し、2026年以降の量産化(例: ヒューマノイドの産業応用)でさらに需要が増す見通し。海外競争(中国製低価格ケーブル)に対抗し、JMACSはAI制御対応の次世代ケーブル開発を進めている。 |
| 4826 | CIJ | 独立系ソフトウェア開発会社。人間とロボットの「共存・共栄」を目指したヒューマノイド型ロボット「AYUDAシリーズ」を主力製品として展開。AYUDAシリーズは、人間中心の社会課題(高齢化・労働力不足)を解決するツールとして、行政・企業で実績を積んでいます。将来的には、生成AIのさらなる統合で、より知的なロボットを目指し、ロボリンクを通じた業界連携を拡大する見通し。 |
