来週の相場見通し 日経平均が急落しないなら、資金は消去法的に内需系小型株へ
週末の欧米長期金利の上昇、及び、欧米主要株価指数の下落を受け、来週の東京株式市場は嫌気売りが先行する見通しです。10日の大阪ナイトセッションの日経平均先物12月物は前日比200円安の16660円でした。週明けの先物はまずはこれにサヤ寄せするでしょう。
ドラギECB総裁が理事会で、量的緩和策の延長に関する議論がなかったことを明らかにしたことで、過度な国債市場の需給引き締まり期待が後退しました。この結果、9日の独連邦債10年物が約2カ月半ぶりにプラス圏に浮上するなど、欧州債に売りが出ています。また、米国では、ウィリアムズサンフランシスコ連銀総裁、ラッカーリッチモンド連銀総裁、ローゼングレンボストン連銀総裁など、ここ最近、FRBの要人からは過度な金融緩和が与える経済や資産価格への悪影響を懸念する声が相次いでいます。このため、9日の米10年物国債利回りは1.67%と、およそ2カ月半ぶりの高水準を付けました。つまり、世界同時債券安が発生しています。
また、米早期利上げ観測の強まりを受け欧米株が下落したことに連動する格好で、9日のブラジルの主要株価指数のボベスパ指数が前日比3.71%下落し、「iシェアーズMSCIエマージング・マーケットETF」も同3.4%安となるなど、新興国の株式市場も売られています。つまり、先進国も新興国も、株式市場が下落するという、世界同時株安の様相を呈しています。
こうなると、週明けの世界の金融市場は「リスクオフ」一色になりそうです。ただし、日銀が7月29日の金融政策決定会合で、ETFの買い入れ額を年6兆円に増額すると決めたため、それ以前のような、日経平均の急落は避けられる見通しです。仮に、下落するにしても、日銀のETF買い入れが下落緩衝装置として機能するでしょう。急落が避けられるならば、多くの投資家は精神的な安定を維持することが可能になるため、パニック的な狼狽売りも出難いと考えます。
その一方、金利動向に対して神経質な状況が、20~21日の日銀の金融政策決定会合および米連邦公開市場委員会(FOMC)まで継続するのは不可避な情勢です。よって、多くの投資家は、日銀金融政策決定会合で実施する「総括的検証」の内容や、FRBによる利上げ実施の有無を見極めたいため、積極的な売買を手控えるスタンスを崩しそうにありません。
以上述べてきたことを踏まえた、来週の日経平均の想定レンジは、26週移動平均線(9日現在16441.50円)~5日高値の17156.36円です。ちなみに、日経平均の9月のSQ値は17011.77円です。これを下回っていれば弱含みの調整、逆に、上回っていれば強含みで堅調展開になるとみています。なお、米早期利上げ観測の強まりはドル高要因であり、これは我が国輸出関連にはポジティブなため、仮に、欧米株の下落がきつくても、日経平均は相対的に強い動きとなる公算です。
一方、日経平均が想定以上に急落したら、さすがに東証マザーズに代表される新興市場も無事では済まないでしょう。ですが、想定の範囲内の調整なら、短期資金は新興市場を中心に小型株に流入することは十分期待できるとみています。外部環境の影響を受け難い内需の小型株が、消去法的に物色される可能性は低くはないと考えているからです。さすがに、日経平均も東証マザーズ指数も同時に下がると、東京株式市場は非常に暗いムードに包まれるでしょう。しかし、日経平均が軟調でも、新興市場が堅調なら、多くのアクティブな個人投資家の相場への体感温度は特に下がることはないとみており、現時点では、その可能性が高いと考えています。
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