電力小売自由化関連銘柄

電力小売自由化とは

電力小売自由化

2016年4月より、家庭などに向けた電力の小売が全面自由化となる。これまでは地域ごとの電力会社、関東ならば東電、関西ならば関電、九州ならば九電と買い先は決まっていたが自由化となることで競争が激化すると予想されている。

電力小売自由化は新興の電力小売業者にとっては大きなチャンスとなるのは当然だが、大手電力会社もこれまでの地域の枠組みを越えてサービス可能になるというメリットがある。

消費者にとっても価格競争による実質的な電気料金値下げなどといった恩恵の大きい政策と言える。

電力小売自由化関連銘柄一覧

コード 銘柄名 企業情報・業務内容
9517 イーレックス 同社グループの電力事業は、電力小売(官公庁向け、民間企業向け)、電力市場取引、電源開発から構成されている。民間企業向けでは、同社は電気事業法におけるPPSとして東北電力・東京電力・中部電力・九州電力の営業地域において、官公庁や民間企業等の特別高圧・高圧の需要家に対して、一般電気事業者よりも安価な電力の供給(電力小売)を行っている。
3848 データ・アプリケーション 電力小売全面自由化に向けて、統合EDI(電子データ交換)製品「ACMS(エーシーエムエス)シリーズ」の最新版(バージョン4.4)において、電力会社や新電力会社( PPS)などの各電気事業者が、電力広域的運営推進機関のシステムと接続するために必要なプロトコルと新しい認証方式をサポートすることを発表した。
3825 リミックスポイント 14年10月16日、電力売買事業の開始を発表した。主にPPS 事業者を対象とした電力の販売を開始。同社としては、発電事業者及び電力の卸売事業者から電力を調達し、PPS 事業者が必要とする電力が不足した場合において、PPS事業者に供給することを推進していく。なお、電力売買事業は、同社の売上の大半を占めている事業。
6079 エナリス 16年4月からの電力小売全面自由化に向けて、低圧及び一般家庭向けへの電力小売参入を行うPPSへのサービス提供に向け、引き続き機能強化に取り組んでいる。なお、同社の創業ビジネスであるPPS需給管理代行においては、15年9月末現在 受託先企業総数22社となっており、受託先企業の増加及び供給エリアの拡大に伴う顧客当たり売上の上昇等により売上高は増加しているという。
3150 グリムス 同社グループは、スマートハウスプロジェクト事業において、住宅用太陽光発電システムや蓄電池等のエネルギー関連商品の販売、メガソーラーの取得と稼働開始、エネルギーコストソリューション事業において、電力基本料金削減コンサルティング、LED照明の販売、電子ブレーカー既存顧客のリースアップに伴うリプレイス販売、及び電力料金の削減を目的とした電力の調達改善を行う代理購入サービスの新規開拓推進など、創エネルギー・省エネルギー・蓄エネルギーといったエネルギーに関連する様々な商品・サービスを提供し、電力自由化を見据えて積極的な事業展開を行っている。

電力小売自由化となった経緯

1990年代より電力小売自由化の議論は何度も行われてきた。実際に工場など大量の電力を消費するところでは既に自由化が完了しており好きな小売業者を選べるようになっている。

今回解禁となった一般家庭やコンビニなどに電力小売自由化が広まった背景には2011年の東日本大震災の影響がある。福島原発の事故により節電が行われ、原発廃止の議論も未だに続いている。エネルギー政策への国民関心が高まったことが電力小売自由化解禁に繋がったと考えられる。

電力自由化で新たに生まれるプラン・サービス

電力小売自由化に伴い既存の電力会社、新規参入の電力小売業者、それぞれが新たな料金プランやサービス付与を打ち出している。

既存の電力会社はポイントサービスを導入

TEPCO

情報源: 電力自由化に伴う新サービス│はじまる!電力自由化│東京電力

東京電力(9501)は既存ユーザーの囲い込みとしてポイントサービスの導入を決めている。Ponta、T-POINTといった大手ポイントカード会社と提携し、電気料金の支払いでポイントが貯まる新たな料金プランを打ち出している。

東京ガスではガスと電気のセット割を実施

ガス販売を行う東京ガス(9531)大阪ガス(9532)も電力小売自由化に参入してくる。既に一般家庭への販売ノウハウや販売インフラを持つガス会社は電力自由化で最も恩恵の大きい企業と言われており、既存電力会社のシェアを大きく奪うのではないかと予想されている。ガスと電気のセット割といった同社独自の料金プランを打ち出しシェア確保に注力。

携帯大手3社も電力小売へ参入か

携帯大手3社

ドコモ(9437)KDDI(9433)ソフトバンク(9984)もそれぞれ違った形ではあるが電力小売自由化に伴い電力販売事業参入予定となっている。ドコモは東京ガス、大阪ガスと共に設立した「エネット」で再生可能エネルギーの発電と売電を行う。KDDIは「ジュピターテレコム」「auエナジーサプライ」といった子会社で電力販売を拡大予定。ソフトバンクは原発事故後、真っ先にメガソーラーや風力発電といった自然エネルギー事業に参入し、発電事業を行ってきた。今回も当然ながら電力小売に参入する。

携帯大手3社、いずれも電力小売事業に積極的に参入してくることとなり、今後は携帯料金とのセット割、家庭用電話や家庭用インターネットとのセット割といったプランを打ち出してくると考えられる。

電力小売自由化に伴うデメリットとは

電力小売自由化に伴うデメリット

電力小売自由化により、新規参入企業が増え、競争が生まれ、電気料金の値下げに繋がるというメリット部分はすぐに理解できると思う。逆にデメリットの部分はどうだろうか。考えられるデメリットもいくつか挙げておこう。

電力の供給が不安定となる可能性

電力小売自由化に伴い、電力販売業者が乱立してくる可能性もある。そうなってくると料金の安さだけに特化し、安定した電力供給を行えない中小小売業者も出始め、ユーザーは停電といったリスクを抱えてしまうかもしれない。一応は停電リスクを減らすセーフティネットも用意される予定となっているが、自由化が動き出してみないことにはどうなるかわからない。

電気料金が上がる可能性

自由化による競争で電気料金の値下げ合戦が予想されるが、その逆となる可能性も否定できない。しかし、電気はガソリンと同じく原価の上昇で価格設定も左右されかねないものだ。火力発電がメインとなった場合、燃料費の高騰がそのまま電気料金に反映されるかもしれない。また、それがしばらく続けば電気料金が高止まりし、期待していたものとは真逆の政策になってしまうことも考えられる。

電力自由化関連銘柄の今後はどうなるか

電力自由化関連銘柄の今後

デメリットがまったく無いわけではないが、現時点ではメリットが大きいと期待される電力小売自由化。電力自由化関連銘柄も今後の上昇が期待される。東京電力(9501)東京ガス(9531)といった生活インフラを担う大手同士の価格競争、ネット回線とのセット割が期待される大手携帯3社、そして自然エネルギー、再生可能エネルギー、バイオマス発電などを行う新興銘柄にとっても電力小売自由化はチャンスとなるだろう。また、電力会社の変更にはスマートメーターの設置が必要であり、スマートメーター関連銘柄なども注目を集めそうだ。

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