ノーベル賞関連銘柄(2016年版)
10月はノーベル賞発表月!ノーベル賞関連銘柄に注目集まる
10月はノーベル賞の発表時期となっている。2016年は10月3日より随時、各部門のノーベル賞受賞者が発表される。これに伴い、ノーベル賞関連銘柄も物色されてくるだろう。
受賞日程は以下の通りとなっている。
- 10月3日:ノーベル生理学・医学賞
- 10月4日:ノーベル物理学賞
- 10月5日:ノーベル化学賞
- 10月7日:ノーベル平和賞
- 10月10日:ノーベル経済学賞
- 10月13日:ノーベル文学賞
各部門についてのノーベル賞関連銘柄をチェックしておこう。
目次
ノーベル生理学・医学賞関連銘柄
コード | 銘柄名 | 企業情報・業務内容 |
4528 | 小野薬品工業 | ノーベル生理学・医学賞候補である本庶佑博士の研究チームが開発に携わったヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体医薬品「オプジーボ」の販売を行う。iPS細胞でノーベル賞を受賞した山中伸弥教授も今回の本命はガン治療の光なる「PD-1阻害薬」だと注目している。 |
4557 | 医学生物学研究所 | 京都大学の共同研究を行っており、同大学教授の森和俊博士のノーベル生理学・医学賞受賞で思惑も。また、同分野の受賞候補である大隅良典教授、水島昇教授が研究するオートファジー関連銘柄の本命とも言われている。 |
4151 | 協和醗酵キリン | 白血病治療薬「ポテリジオ」を開発。ノーベル生理学・医学賞候補である坂口志文教授が発見した「制御性T細胞」、この細胞の過剰反応を抑制する効果が「ポテリジオ」にあることが発見され、新しいがん治療法として注目されている。 |
4974 | タカラバイオ | タカラバイオの研究グループは癌治療用ウイルスTBI-1401(HF10)と免疫チェックポイント阻害薬である抗PD-1抗体との併用療法の有効性を動物実験で証明。2016年ノーベル生理学・医学賞の本命と言われる「PD-1」と「オートファジー」の研究を進める。 |
3386 | コスモ・バイオ | がん治療として注目され、2016年ノーベル賞受賞の有力研究と言われる「PD-1」「オートファジー」「制御性T細胞」などの研究、製品開発を行う。 |
ノーベル生理学・医学賞関連銘柄の本命(4528)小野薬品工業
今回のノーベル生理学・医学賞の本命は、体の免疫細胞にはがん細胞と結合し、自らブレーキをかけるたんぱく質「プログラム細胞死1(PD-1)」と言われている。このPD-1を発見した本庶佑名誉教授のノーベル賞受賞が期待されており、治療薬を共同開発し販売する小野薬品工業が関連銘柄の本命と言える。
ノーベル物理学賞関連銘柄
コード | 銘柄名 | 企業情報・業務内容 |
6594 | 日本電産 | ノーベル物理学賞受賞候補の十倉好紀教授がノーベル賞受賞となれば、同氏が発見した「マルチフェロイック物質」の製品応用が期待され、モーター開発を手がける同社が物色対象となる可能性あり。 |
6762 | TDK | ノーベル物理学賞受賞候補の十倉好紀教授がノーベル賞受賞となれば、同氏が発見した「マルチフェロイック物質」の製品応用が期待され、磁気ヘッド開発を手がける同社が物色対象となる可能性あり。 |
4005 | 住友化学 | 十倉好紀教授の実兄、十倉雅和氏は同社の代表取締役社長となっている。化学製品企業ではあるが、この点を考えればノーベル物理学賞関連銘柄と見てもいいだろう。 |
6701 | 日本電気 | 飯島澄男教授が発見した「カーボンナノチューブ」でノーベル賞受賞となれば、同氏が特別主席研究員を務める同社が物色対象に。 |
4205 | 日本ゼオン | 飯島澄男教授が発見した「カーボンナノチューブ」でノーベル賞受賞となれば、同素材の量産工場を持つ同社が物色対象となる。 |
5802 | 住友電気工業 | 同社製品である超電導ケーブル、光ファイバーなど通信インフラは、ノーベル物理学賞受賞候補である細野秀雄教授、中沢正隆教授と関連性が深い。 |
ノーベル物理学賞関連銘柄の本命(4205)日本ゼオン
飯島澄男教授が発見した「カーボンナノチューブ」にノーベル賞受賞の期待が集まる。日本ゼオンは世界初となるスーパーグロース・カーボンナノチューブの量産工場の稼動を開始しており、見事受賞となった際は世界中からカーボンナノチューブ需要が殺到する可能性がある。
ノーベル化学賞関連銘柄
コード | 銘柄名 | 企業情報・業務内容 |
4582 | シンバイオ製薬 | ノーベル化学賞受賞候補の前田浩教授は同社のシニアアドバイザーを務める。松村保広分野長と「EPR効果」でノーベル化学賞受賞となれば関連銘柄の本命となるだろう。 |
4572 | カルナバイオサイエンス | 国立がん研究センターと研究開発を行う。がん治療薬では国立がん研究センター松村保広分野長がノーベル化学賞候補となっている。 |
4080 | 田中化学研究所 | ノーベル化学賞では日本の受賞者だけでなく、海外受賞者の研究内容も注目されている。今回の本命はスマホや電気自動車(EV)での活用で注目される「リチウムイオン電池」が本命。リチウムイオン電池関連銘柄の同社もノーベル賞関連銘柄として注目が集まる。 |
4100 | 戸田工業 | 田中化学研究所と同じく、リチウムイオン電池関連銘柄として正極材の部品供給を行う同社も関連銘柄。 |
6674 | ジーエス・ユアサ | リチウムイオン電池の製品開発を行う。国内外でのシェアは大きい。リチウムイオン電池関連銘柄、電気自動車関連銘柄の本命であり、今回に限ってはノーベル賞関連銘柄でもある。 |
ノーベル化学賞関連銘柄の本命(4582)シンバイオ製薬
ノーベル化学賞では前田浩教授と国立がん研究センターの松村保広分野長の「がん治療における高分子薬物の血管透過性・滞留性亢進(EPR)効果」が最有力と言われている。がん治療薬の開発を行い、前田浩教授がアドバイザーを務めるシンバイオ製薬が関連銘柄の本命。
ノーベル文学賞関連銘柄
コード | 銘柄名 | 企業情報・業務内容 |
9978 | 文教堂グループホールディングス | ノーベル文学賞関連銘柄。同分野の最有力候補である村上春樹氏の受賞が期待されている。 |
3159 | 丸善CHIホールディングス | ノーベル文学賞最有力候補である村上春樹氏の受賞がネット販売の台頭により苦戦となっている書店の起爆剤になると期待されている。 |
ノーベル文学賞関連銘柄の本命(9978)文教堂
毎年必ずノーベル文学賞の本命として村上春樹氏の名前が挙げられる。書店の大手である文教堂HDと丸善CHIもこの時期は株価上昇となる傾向にある。この分野に関してはノーベル賞を逃せば失望売り、ノーベル賞を受賞しても材料出尽くしとなってしまう可能性があるので注意が必要。
ノーベル賞受賞候補者
ノーベル賞の各部門の受賞候補者、その受賞内容に関して簡単にまとめておく。
ノーベル生理学・医学賞受賞候補
本庶 佑(ほんじょ たすく)氏
静岡県公立大学法人理事長。京都大学大学院医学研究科客員教授。日本学士院会員。
プログラム細胞死1(PD-1)分子の遺伝子を発見。PD-1分子が実際にT細胞の興奮を抑えることを明らかにした。このPD-1研究によりPD-1抗体ががん治療薬に有効であることが解明され、小野薬品工業が「オプジーボ」の開発を行った。
坂口 志文(さかぐち しもん)氏
大阪大学免疫学フロンティア研究センター教授。過剰な免疫反応を抑える制御性T細胞の発見と免疫疾患における意義を解明。
制御性T細胞は免疫反応の過剰や異常を抑える働きをするが、正常な細胞だけでなくがん細胞への免疫も抑制してしまう。この制御性T細胞の働きを制御・コントロールすることが今後のがん治療の大きな進歩に結びつくと期待される。
森 和俊(もり かずとし)氏
薬学博士(京都大学)。京都大学大学院理学研究科教授。専門は分子生物学、細胞生物学、生物物理学。
小胞体内腔に高次構造の異常なタンパク質や正常な修飾を受けていないタンパク質が蓄積した状態、「小胞体ストレス」を発見し、これがどのように作用し日常のさまざまな生理的ストレスを生み出すかを解明。
大隅 良典(おおすみ よしのり)氏
総合研究大学院大学名誉教授、基礎生物学研究所名誉教授、東京工業大学フロンティア研究機構特任教授。
オートファジーの分子メカニズムや生理学的な機能を研究。オートファジーは、細胞が持っている、細胞内のタンパク質を分解するための仕組みの一つ。自食(じしょく)とも呼ばれる。これは生体の恒常性維持、個体発生の過程でのプログラム細胞死や、ハンチントン病などの疾患の発生、細胞のがん化抑制などに関与することが解明されている。
水島 昇(みずしま のぼる)氏
東京大学大学院医学系研究科教授。
オートファジーの研究に取り組み、それに纏わる基本分子群とその機能を解明した。世界で初めて、生きた細胞内部のオートファジー現象を可視化することに成功した。それらの研究を通じて、オートファジーの分子メカニズムと生理機能を明らかにした。
竹市 雅俊(たけいち まさとし)氏
同多細胞システム形成研究センター(CDB)特別顧問/チームリーダー。京都大学名誉教授、日本学士院会員。
細胞間接着分子カドヘリンを発見。カドヘリンは、細胞同士を接着させることによって、組織形成において重要な役割を果たす。カドヘリンの機能を用い、細胞接着、胚発生、形態形成、がんの浸潤・転移、シナプス形成、シナプス可塑性などの研究が進められている。
小川誠二(おがわ せいじ)氏
東北福祉大学特任教授。Ph.D.(理学博士、化学物理)。
病院の診断で使われる磁気共鳴画像法 (MRI) の基本原理を発見。神経血管結合による脳血流の変化を含めた生理現象によって生じるMRIの信号変化を観測するための基礎原理としてBOLD法 (Blood Oxygenation Level Dependent) を確立した。
ノーベル物理学賞受賞候補
細野 秀雄(ほその ひでお)氏
東京工業大学応用セラミックス研究所教授。
透明アモルファス酸化物半導体の開発や、セメント材料を原料に用いた大気中でも安定なエレクトライドの合成、鉄系超電導(超伝導)体を発見。超伝導電磁石や超電導電力線、超伝導量子干渉計 (SQUID)、磁気シールド装置の開発、研究に応用されている。
十倉 好紀(とくら よしのり)氏
東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻教授。理化学研究所 創発物性科学研究センター(CEMS)センター長。実兄の十倉雅和氏は住友化学代表取締役社長。
電子型高温超伝導体の発見、酸化物巨大磁気抵抗(CMR)効果の発見と機構解明、マルチフェロイックスの巨大電気磁気効果の発見、磁気スキルミオンの観測と物性解明など多数の研究成果を挙げている。
中沢 正隆(なかざわ まさたか)氏
東北大学電気通信研究所教授。東北大学ディスティングイッシュトプロフェッサー・電気通信研究所長。
光ファイバー通信にとって重要な技術、エルビウム添加光ファイバー増幅器を開発。光信号を電気信号に変換せず、直接光の状態で増幅することが可能となり、光通信とレーザー物理には欠かせない技術といえる。
大野 英男(おおの ひでお)氏
東北大学電気通信研究所教授。磁性半導体の第一人者。
半導体と磁石の性質を併せ持つ「磁性半導体」を作り出した。現在のエレクトロニクスに代わる「スピントロニクス」という新しい技術により、電気の力でスピンをコントロールできれば、大幅な省エネにつながると期待される。
ノーベル化学賞受賞候補
前田 浩(まえだ ひろ)氏
崇城大学DDS研究所特任教授。熊本大学名誉教授。
国立がん研究センター先端医療開発センター新薬開発分野の松村保広分野長と共に、高分子薬剤が選択的にがん局所に留まりやすい現象「がん治療における高分子薬物の血管透過性・滞留性亢進(EPR)効果」を発見。
松村 保広(まつむら やすひろ)氏
国立がん研究センター先端医療開発センター新薬開発分野分野長。
崇城大学DDS研究所特任教授の前田浩氏と共にEPR効果を提唱。がん間質にデリバリーし、不溶性フィブリン上で抗がん剤をリリースして、がんと腫瘍血管両方を攻撃するがん間質ターゲティング療法を開発。
新海 征治(しんかい せいじ)氏
九州大学名誉教授。現九州大学高等研究院特別主幹教授、崇城大学教授、九州先端科学技術研究所所長。
分子認識メカニズムの解明と、それらの知見を応用した分子機械システムの構築などを行う。これまでもたびたびノーベル化学賞の受賞候補として名前が挙がっている。
北川 進(きたがわ すすむ)氏
京都大学物質-細胞統合システム拠点拠点長、京都大学大学院工学研究科教授。
有機物と金属を組みあわせた多孔性材料である配位高分子を研究を行う。マイクロ孔を有する金属錯体である多孔性配位高分子の合成、その機能の発現に関する研究を進めている。この多孔性金属錯体は二酸化炭素を効率よく吸着する性質があり、地球温暖化対策として注目され、今回のノーベル化学賞候補に。
藤嶋 昭(ふじしま あきら)氏
専門は光電気化学、機能材料化学。初代東京大学特別栄誉教授。財団法人神奈川科学技術アカデミー理事長。
酸化チタン表面で光触媒反応が起きることを発見。この現象は共同研究者の本多健一の名前と合わせ「本多-藤嶋効果」と呼ばれる。医療機器の衛生面管理に役立てられている。
春田 正毅(はるた まさたけ)氏
首都大学東京名誉教授。名古屋工業大学特別招聘教授。金の触媒作用の研究の第一人者。
金を直径5nm以下の微粒子にすることで従来とはまるで違った振る舞いをする“金ナノ粒子の触媒作用”を発見。不活性な物質で機能に乏しいと考えられてきた金に新たな可能性を見出した。
飯島 澄男(いいじま すみお)氏
名城大学大学院理工学研究科・終身教授。NEC特別主席研究員。名古屋大学特別招聘教授。
アルミニウムの半分という軽さ、鋼鉄の20倍の強度、優れた弾性力を持つカーボンナノチューブを発見。その特性を利用し、半導体、燃料電池、光学機器などの新素材として期待されている。
ノーベル文学賞受賞候補
村上春樹(むらかみ はるき)氏
日本だけでなく海外でも非常に人気の高い小説家、アメリカ文学翻訳家。『ノルウェイの森』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』など数々のヒット作を生み出す。
毎年、必ずノーベル文学賞の最有力候補として名前が挙がるが、2015年までに受賞はない。2016年も当然ながらノーベル文学賞の最有力候補であることは間違いない。
ノーベル賞の受賞は関連銘柄バブルの始まり
2012年に京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授が「iPS細胞」にてノーベル生理学・医学賞を受賞したことで、その後数ヶ月間に渡ってバイオ関連銘柄がバブルとなった。
2014年には京都大学の赤﨑勇名誉教授、名古屋大学の天野浩特別教授、日本出身でアメリカ国籍を取得した中村修二氏の3名が「青色発行ダイオード」でノーベル物理学賞を受賞。これを受けてLED関連銘柄の物色が強まった。
2015年には北里大学大村智特別栄誉教授が「アベルメクチンの発見とイベルメクチンの開発」でノーベル生理学・医学賞を、東京大学宇宙線研究所長の梶田隆章教授が「ニュートリノ」でノーベル物理学賞を受賞した。ただ、この年は関連銘柄への影響は限定的でありバブルという程の状況には至らなかった。
2016年も受賞内容によっては関連銘柄が数日から数ヶ月単位で急騰、バブルとなる可能性がある。ノーベル賞関連銘柄は受賞者発表が材料出尽くしではなく、上昇のスタートになる場合があるのでその内容も注視しておくべきだろう。
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