デジタル教科書関連銘柄

2020年までの導入を目指す。デジタル教科書関連銘柄に注目

Digital textbooks

総務省が2020年までに全国の小学校、中学校、高校に無線LAN(WiFi)を導入する方針を発表。タブレット端末を用いた「デジタル教科書」の普及を進める為にWiFiの導入費用の半分を補助するとのこと。

WiFiは携帯電話の電波とは異なる為、災害時の電波混雑なども緩和できるというメリットがある。

現在、WiFiの利用できる小学校、中学校、高校は全体の24%程度。これを2020年までに100%まで引き上げるとなれば関連銘柄には特需が期待される。

デジタル教科書関連銘柄として、まずは電子書籍関連銘柄の物色が真っ先に思い浮かぶだろう。それと併せて、Wifiの設置率100%を目指すということで無線LAN関連銘柄、最近で言えば5G関連銘柄も物色の対象となる。どちらかと言えばこちらがデジタル教科書関連銘柄の本命と言えるかもしれない。

デジタル教科書関連銘柄

コード 銘柄名 企業情報・業務内容
3393 スターティア 電子ブック作成ソフト「ActiBook」、SaaS型電子ブック作成ツール「ActiBook SaaS」といった電子書籍の作成を支援するサービスを展開。デジタル教科書、デジタル教材の普及に伴いこちらのサービスも人気化すると予想。
3933 チエル ICTを活用した学習システムの企画、開発、販売を行い普及を進める。学校などの教育機関へネットインフラの導入をサポートするだけでなく、デジタル教科書などのデジタル教材の販売も行っており、デジタル教育分野の事業を一貫して行っている。
3658 イーブックイニシアティブジャパン 電子書籍配信サービス、電子書籍提供サービスを行う。クラウド上の本棚とブックリーダーを利用することでスマートフォン、タブレット、パソコンなど、あらゆる端末で書籍の確認ができる。デジタル教科書事業への流用は容易に可能。
2345 アイスタディ Web会議などコミュニケーションサービス提供する(3681)ブイキューブの子会社。インターネットを利用した学習サービス、eラーニングが事業の柱。親会社のWeb会議システムを利用した通信学習への事業拡大も期待される。
6629 テクノホライゾン・ホールディングス 連結子会社の株式会社エルモは、学校や教育機関向けにワイヤレス書画カメラMO-1w用「バッテリーユニット」を発売。WiFi機能を用いたワイヤレスな書画カメラが今後の主流となってくるだろう。
3681 ブイキューブ Web会議といったインターネットを利用したコミュニケーションサービスを提供。鮮明な映像通信機能が遠隔医療やドローンカメラで活躍するのではと期待されているが、病気や災害などで通学困難となった際などにも教育機関で力を発揮する場面がある。その他、電子黒板も手掛けておりデジタル教科書関連銘柄として注目される。
4813 ACCESS クラウド機能を利用したデジタル版教科書・教材用ソリューション「Lentrance(レントランス)」を提供。学校・塾・通信教育などの多様な学びの場を連携させ、個人の生涯にわたる学びをサポート。
8057 内田洋行 ICTを利用し教育環境に欠かすことのできないネットワークインフラやクラウド環境の構築、運用を支援。今回、デジタル教科書普及へ向け、無線LAN(WiFi)の普及へ政府が補助金を出す。ネットワーク構築、クラウド構築も含めた総合サポートを行う同社は大きな需要が見込まれる。
6098 リクルートホールディングス 人材募集や派遣サービス、販促メディアが事業の柱。これにプラスし、最近ではネットを利用した教育事業にも参入。小学校、中学校、高校、大学受験者向けのサービス「スタディサプリ」はテレビCMなどの広告に力を入れ、認知度の向上を進めている。

無線LAN関連銘柄(5G関連銘柄)

コード 銘柄名 企業情報・業務内容
6835 アライドテレシスホールディングス ネットワーク機器事業を行っており、国内だけでなく海外でのシェアも高い。学校などの自治体向けが収益の柱となっており、学校への導入を進める今回の方針とベストマッチした銘柄と言える。
4316 ビーマップ 無線LAN機器の販売、無線LANインフラ構築を行う。デジタル教科書の普及にはまず先に、無線LANの普及が進まなければならない。
9419 ワイヤレスゲート 他社インフラを借りて公衆無線LAN、WiMAXサービスを行う。東京オリンピックへ向けて無線LAN通信網の拡大を図っているが、これに更に追加で小・中・高といった教育機関へのWiFi設置を進める。
6778 アルチザネットワークス 無線アクセスネットワーク(RAN: Radio Access Network)の中核にはC-RAN(Centralized/Cloud-RAN)と呼ばれる技術が採用されている。アルチザは世界最大のC-RAN基地局の限界性能を測定するテスターを世界の大手通信キャリアや大手ベンダーに提供。C-RANテスター市場でワールドワイドダントツNo.1のシェアを有している。LTE-Advancedまでの全機能を既存製品(DuoSIM-A)で対応し、すでにLTE-Advanced Pro、5Gへの準備もスタートしている。
3852 サイバーコム 15年3月期の通信ソフトウェア開発は、LTE網(LTE-Advancedを含む)やIPネットワーク網を支える伝送装置、次世代のルータ、スイッチ、ネットワーク網監視システムの開発案件、SDN関連のシステム開発案件等を受注した。制御ソフトウェア開発は、車載システム、工業用機械制御装置、複合機、アミューズメント機器の開発案件等を中心に受注した。
3842 ネクストジェン 次世代通信網(NGN)の制御システムの開発を行う。5G通信の開発を積極的に進めるドコモにも通話管理システムを導入しており、今後は自社のソリューションサービスノウハウを活かし、5Gの開発研究へと積極参入してくる可能性がある。
3914 JIG-SAW Altair Semiconductor,LTD.(イスラエル)がソニー(6758)のグループ会社となることを公式に発表。今回のAltairsemi.社のソニーグループ入りにより、わが国におけるAltairsemi.社チップの信頼性及び認知度も飛躍的に向上し、IoT-LTE先進国である日本における導入に大きな弾みがつくとともに、国外における展開も一層加速する見通しだという。なお、ジグソーグループとAltairsemi.社との4G(LTE)だけではなく5G 含む将来提供予定の全てのチップにおける包括技術ライセンス及び関係性は従来通り変わること無く継続する。

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デジタル教科書関連銘柄とIoT関連銘柄

IoT

モノがインターネットに繋がるIoT技術。デジタル教科書はタブレット端末を用いることが多いので元々インターネットに繋がっており、IoTの括りとは言い難い。ただ、その他の教材、例えば電子黒板の書かれた内容を生徒のタブレット端末に送信したり、生徒に配布する学生証を電子手帳にするようなIoT化の取り組みが今後も進むかもしれない。

その際、今回のデジタル教科書普及に伴うWiFi環境の整備は重要な意味を持ってくるだろう。

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デジタル教科書関連銘柄とICT(アイシーティー)

IT(Information Technology)は情報通信を示す言葉として既に一般的な用語となっている。そしてこの「ICT(Information and Communication Technology)」とはITから更に一歩踏み込んだ意味を持っており、海外で良く使われる用語となる。

ICT(アイシーティー)はITにCommunication(コミュニケーション)が加わった、そのままの意味を持つ。ITを用いたコミュニケーション、具体的にはネット回線を使った音声通話やチャット、テレビ電話のようなWeb会議機能を指す。

ICTの教育分野への活用=電子黒板、実物投影機、デジタル教科書・教材、授業の映像配信となる。

また、ICTの医療分野への活用=遠隔医療といったものとなり、最近の重要テーマで良く用いられる。

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デジタル教科書のメリットとデメリット

メリットデメリット

デジタル教科書の普及率は年々増えている。これはデジタル教科書が従来の教科書と比べメリットが多い為と考えられる。しかしながら、従来の教科書を完全に排除し、デジタル教科書一つに集約されていない現状を見るとコスト面やその他でデメリットがあるということも確かだろう。デジタル教科書のメリットとデメリットを考えられる範囲で挙げてみる。

デジタル教科書のメリット

まずはデジタル教科書のメリットに関して。これは多数考えられる。

子供が興味を持ち易い

小学校低学年は授業に慣れていない生徒も多い。そういった子供向けにはアニメーションを使うなどし、興味や関心を引く授業を行うことができる。

複数の教科を一つの端末に集約

電子書籍全般に言えることだが、タブレット端末には複数の書籍、教科書、教材を入れることができる。デジタル教科書用のタブレット端末が一つあれば全教科の教科書を集約することが可能だ。

動画データ、音声データを利用できる

図や写真だけでは説明や理解が難しい内容もデジタル教科書であれば動画で学ぶことができる。また、音声データも利用できるので英語の授業などで発音を聞きたい際にすぐ聴くことができる。

教科書とノートを一体化することができる

紙の教科書でも線を引いたり、注釈を入れることなどはできるがデジタル教科書であれば削除や追記、画像の添付なども可能となる。

データの配布が容易となる

プリント配布の代わりにデータ配信で各々のタブレット端末に必要な情報をいつでも送ることができる。例えば学校を休んだ生徒に重要なデータ、情報を送ることもデジタル教科書では可能だ。

IT化社会における必要な技術が身に付く

数十年前と比べ、IT技術の急速な発展に伴い社会人としての必要なスキルが変化しつつある。数年前まで「字が上手い」「計算が速い」といったスキルが重宝されていたが今は「パソコンが使える」「ネットに詳しい」「プログラムが書ける」といったスキルが必須となりつつある。IT化社会において、学校教育の段階でこれらの技術に触れておく必要性が増してきている。

デジタル教科書のデメリット

デジタル教科書はメリットが多い反面、反対意見も根強い。デメリットと言われる点、成り得る部分を調べてみた。

導入コスト

デジタル教科書に限らず、こういった新たなIT関連技術の施行に伴うデメリットとして真っ先に出てくるのは導入コストだろう。全国の公立学校にWiFi環境を整備し、クラウド構築、セキュリティ強化、タブレット端末の配布を行うと莫大な予算が必要となる。また、デジタル教科書に十分な予算を費やせる行政とそうではない行政とでは教育格差が広がってしまうという問題も起こりうる。

考える力が鈍る

科学的に立証されているものではないが、デジタル教科書の導入で「検索すればすぐに答えが出る」という状況が生徒の考える力を鈍らせるのではないかとの懸念が出ている。検索で答えが出なかったことに対し、自分の考えを見出すことができなくなるのではと心配の声も見受けられる。

計算能力が鈍る

考える力と同じく計算する力も鈍ってくるかもしれない。どんなに複雑な計算問題であってもコンピュータに計算させれば1秒で答えが導かれる。暗算や計算スピードの高さが現代社会においてどれ程重要かはわからないが、無いよりは有った方がいい力であることは間違いないだろう。

読み書きをし無くなるとの懸念

検索すればすぐに答えに辿り着くことができるデジタル教科書、従来の教科書のように全文を読み進めて要約答えを探し出すといった作業が簡略化されるかもしれない。暗記する必要がなくなれば何度もノートに書くという作業も無くなるかもしれない。デジタル教科書の普及で最もオーソドックスだった勉強方法「読み書き」が無くなるとの懸念もある。

デジタル教科書の普及率と現状

無線LAN(WiFi)の普及率は24%程度となっているが、デジタル教科書の普及率は全体のおよそ40%と徐々に進みつつある。

この数字を見る限りでは無線LANがない状況でもデジタル教科書が使われているケースがあるということだろう。

デジタル教科書が有線LANで繋がれたパソコン上での閲覧に限られているのか、タブレット端末そのものに携帯電話のような電波送受信機能が付いているか、もしくはオフライン状態でも利用可能なデジタル教科書を予めダウンロードしておく必要があるのか、いずれかの理由が考えられる。

WiFiの普及状況がこのままではデジタル教科書を有線環境でしか使うことができず、ポテンシャルが半減してしまっていると言える。

デジタル教科書の普及、そしてそれらを完全に活かしきるには、まず先にWiFi環境の整備が必須と言えるだろう。また、前述した通り、WiFiは普通の携帯電話とは違う電波を使っており、災害時などで役に立つ場合が多い。学校などの公共機関には、デジタル教科書の普及抜きでも100%の導入を目指すべきだろう。

デジタル教科書の未来

現在のところ、デジタル教科書は普及途上であり、『実験段階』と言っても過言ではない。ゆとり教育と同じく満を持して導入しても失敗となってしまう可能性もゼロではない。

メリットとして挙げられるようなことが思い通りとなるのか、デメリットとして挙げられるような懸念は本当に的を得ているのか、まだその答えは分からないと言うしかない。

ただ、世界的には日本の都合など関係なくグローバル化、IT化が進み続けている。デジタル教科書普及の波も無視できないものとなっている。

老舗家電メーカーの衰退などを見る限り、教育方法も従来のままでは駄目であり、変わっていく必要があると思う。デジタル教科書の導入、全国への普及はその第一歩と言えるだろう。

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