9日の海外動向と本日の相場見通し 米長期金利上昇一服を好感も、日本株の調整は継続 

10日の大阪ナイトセッションの日経平均先物3月物は前日比180円高の29250円、高値は10日04時42分の29284円、安値は9日16時46分の28930円でした。9日のNYダウは3日続伸、前日比30.30ドル高の31832.74ドルでした。一方、ナスダック総合株価指数は大幅に反発、同464.664ポイント(3.7%)高の13073.825ポイントと、今年最大の上昇率を記録しました。NY債券市場で長期債相場が5営業日ぶりに反発し、米10年物国債利回りは前日比0.07%低下し、1.52%で取引を終えました。これがハイテクなどグロース株の買い材料になりました。NY原油先物相場は続落、WTI期近の4月物は前日比1.04ドル安の1バレル64.01ドルでした。NY金先物相場は5日ぶりに反発、4月物は前日比38.9ドル高の1トロイオンス1716.9ドルでした。

 

9日のVIX指数は前日比1.44(5.65%)高の24.03でした。また、VIX3Mは同0.85(3.02%)高の27.28で、VIX/VIX3Mレシオは同0.02(2.71%)高の0.88と、1を下回っているため、「リスクパリティ型ファンド」からの暴力的な売りを警戒する必要性が大幅に低下しています。Skew指数(スキュー指数、別名「ブラックスワン指数」)は、前日比2.56(1.87%)安の134.45でした。

 

9日の日本では、プット・コールレシオは0.54と前日の0.56から低下しました。東証1部の騰落レシオ(25日移動平均)は123.18と前日の109.61から上昇しました。新高値銘柄数は95、新安値銘柄数は3でした。

 

なお、日経平均に関しては、日足ベースの一目均衡表では基準線は9日現在「水平」を継続しています。転換線は「下向き」から「水平」に転換しました。転換線と基準線は「好転」継続です。遅行スパンは26日前の日足よりも上に浮上したままで、「好転」継続です。引き続き雲の上で推移しています。また、先行スパンのクロスは、現在は確認できません。先行スパン2は「上向き」から「水平」に転換しました。また、9日現在のMACD(12日-26日)は95.08、シグナル(9日)は319.70、ヒストグラム(=MACD -シグナル)はマイナス224.63で、「売り」継続です。(売り転換は2月24日でした。)なお、ここ20日間のディストリビューションデー(株価指数が下落するときに取引高が前日より増大する日のことです。20日以内に5回あると暴落の兆しと言われています。)は8日です。

 

米長期金利上昇一服とナスダック高が好感され、本日の日経平均は堅調推移が見込まれます。想定レンジは29300円±400円程度です。ただし、外部環境好転を好感した買いが一巡後は、ハイテク株が買い戻される一方で、シクリカルバリュー株が利食い売りに押される結果、日経平均は膠着感を強めることになるとみています。なお、OECDは9日、2021年の世界の実質経済成長率が5.6%になるとの予測を発表しました。新型コロナウイルスのワクチンの普及や米国の追加経済対策の効果を見込み、昨年12月時点の予測から1.4ポイント上方修正しました。これが世界の景気敏感株の日本株にはポジティブな材料です。また、米国では、1.9兆ドル規模の追加経済対策が、14日までに成立する見込みで、1人当たり最大1400ドルの現金給付などで、3~4月の米個人消費が相当盛り上がる可能性が高いことも日米株式市場の下支え要因になるでしょう。現時点で唯一の不安材料は米長期金利の動向です。米長期金利への不安が大幅に低下するまでは、日経平均については、25日移動平均線(9日現在29378.19円)を終値で超えることは難しいとみています。逆に、5日移動平均線(同29024.94円)を上回っている限り、下値不安が強まることはないでしょう。いずれにせよ、現在は「調整局面」と認識しています。

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